父がマメさんに初めて会ってくれたその日、

開口一番で父は私たちを責めました。

『おたくらの勝手な都合でお父さんが保証人になっていた職場を辞めて、迷惑をかけたことをどう償うんや』

保証人に迷惑をかけた心当たりがなく、困っている私をよそに、父は驚くべき言葉を重ねました。

『マメさんやっけ?

おたく、うちの娘がとんでもない娘って知ってて結婚したいって言ってるんか?』

とんでもない娘…

今度は、どんな話を引き合いに出されるんだろう…

その後に続く言葉は、私にとっては絶対に家族からは言われたくなかった、信じられない内容でした。

『こいつがこういうことをするんは今回が初めてじゃないんやで。

前にもとんでもないことをして弁護士沙汰になってる。

それも全部知ってて結婚したいんか?』

父がどの出来事を指しているのか気づいた時、私は絶句しました。

マメさんと出会うよりも随分前のことですが、

家庭を持ちたいと感じた時、私はハードな職場から少し専門分野を変えてプライベートが確保できる分野に転職をしました。

私の年齢で何度も転職経験があるというのは、普通の仕事の方だと珍しいかもしれませんが、

私の職種では、修業のために数年ごとに職場を変え、いろいろな環境で経験を積むということはよくあります。

しかし、

私は転職先選びに失敗してしまったのです。

転職先として選んだ職場は家族経営のところで、

ボスは海外でも経験を積んだことのある技術も知識も優れた方でした。

私はその技術を学びたいと思い就職したのですが、

いわゆるパワハラ・モラハラ気質の方だったのです

毎日『お前は人に優しくしたことなんてないかもしれないけど、俺はそんなお前にも優しくしてやってるんだよ』とか、

『お前のような奴は居ても居なくても同じだ。誰かの役にでも立ってると思ったか?』などと、人格を否定されるようなことを言われ、

仕舞いにはその職場から『この日に夏休みを取ってください』と渡された日程で休暇を取っていると、

『ボスの俺が働いているのに、お前はどこで何をしているんだふざけるな』と電話がかかってくるということもありました。

その職場では4ヶ月ほど働いたのですが、

ストレスで食事も取れなくなり、最後の1ヶ月で7キロ痩せてしまい、身の危険を感じて退職を選びました。

職場の規約で、退職を希望する場合は3ヶ月前に申し出ること、とあったので、

『3ヶ月後に退職したい』と伝えたところ、

胸ぐらを掴まれて道路に放り出され、『二度とうちの敷居を跨ぐな』と怒鳴られ、

ロッカーに私物を取りに行こうとすると、服を掴んで階段から引き摺り下ろされました。

その時、私は全く保証人である父のことを配慮する余裕がなく、まさかそのまま退職になるとも思っていなかったので、父には事後報告となってしまったのです。

その後、私は私物や大切な国家資格免許を返却してもらうことができず、

最後の1ヶ月の給与も支払われず、

そういった形での退職が法律上問題にならないか、何らかの責任を求められないか不安になり、知り合いの弁護士に相談しました。

結果的に、雇い主側が二度と来るなと言った場合、規約と異なるタイミングで退職となっても問題はないようで、

給与の支払いと私物の返却を弁護士を通して請求しました。

父はその時のことを言っていたのです。