義両親への手紙
義両親から『二人は子どもについて、どう考えているの?』とはっきりと聞かれ、子なし宣言をしました。
詳しくはこちらの記事をご参照ください🌸
しかし、とっさのことでしっかりと私たち夫婦の考えを中途半端にしか伝えることができなかったので、後日改めて手紙を書きました。
私がマメさんの両親に書いた手紙は、このような内容です。
先日は、楽しい時間をありがとうございました。
この一年なかなか叶わなかった、みんなでゆっくり集まることがようやく実現して、とても嬉しかったです。
そしてあの日、大切なお話をその場の流れでお伝えする形になってしまい申し訳ありませんでした。
急なことできちんとお話しできなかったこともあったので、お手紙を書かせていただいています。
先日もお話ししましたが、私たち夫婦は積極的に子どもをもつことを考えていません。
もっと正確に言うと、これから先の人生を夫婦二人で暮らしていく決意をしています。
これは、簡単に覆るようなことではなく、結婚後に何度も何度も二人で話し合って選んだ道です。
その選択に大きな影響を与えたのは、私が「子どもを産むこと」をどうしても受け入れることができなかったことでした。
結婚当初は、子どもを産むことも考えていたのですが、実際に入籍を終え、それが現実のこととして迫った時に、私は強い恐怖を感じました。
私は両親と…特に母親と、あまり良い親子関係を築くことができませんでした。
母親から絶縁を言い渡された際、体調を崩してカウンセリングを受けに行ったことがあります。
両親の名誉のために詳細は伏せますが、カウンセラーの方から『そんな環境で育ったら、普通の子どもは自殺してしまうよ』と言われるような幼少期でした。
簡単に言うと、私が姉と違って、母の言いなりにならなかったことで、精神的な虐待に近いことを受けていました。
私は、育ててもらった両親にとても感謝していますし、責める気持ちはありません。
親になったことのない私には、親としての本当の大変さや気持ちを理解することはできないからです。
母に対して思うことは、本当は愛情が欲しかったという、ただそれだけの気持ちでしたし、それも今はなくなりました。
実際には、母なりの愛情はあったのだと思いますが、私が受け取ることのできない形だっただけなのだと、最近では考えています。
子どもを産むかどうかを考えた時、虐待は非常に連鎖しやすいという事実がとても気になりました。
母親からの無償の愛情を知らない私が子どもを産むことで、自分自身がゆがんだ愛しか与えることができないのではないか、と。
中には、とてつもない努力で、連鎖を断ち切ることができた方もいるようです。
しかし、私にはその自信がありませんでした。
私の母自身が祖母から虐待を受けて育ち、それが連鎖している現実を目の当たりにしていたからです。
私は、確実に虐待の連鎖を断ち切るために、子どもを産まないという選択をしました。
マメさんにその想いを打ち明けた時、
「俺は子どものために結婚したわけではなくて、カナと一緒に人生を歩みたいと思ったから結婚したんだよ」と言ってくれました。
とても悩みましたが、その後何度も話し合いを重ね、私たちは夫婦二人で歩む人生を選びました。
もっと早くお伝えするべきか悩んだのですが、孫を望んでいるお二人をがっかりさせてしまうことを、なかなか言い出すことができませんでした。
子どもを産まない選択をすることで、マメさんが他の女性を選んだら良かったのにと思わせてしまうのではないかという、お二人に対してとても失礼な気持ちもありました。
長男の嫁でありながら、そのような道を選んだこと、本当に申し訳なく思っています。
私たちは今、夫婦二人で毎日楽しく幸せに暮らしています。
マメさんと出会って初めて、私はありのままの自分を認めてもらえる幸せと、無償の愛を知りました。
私は人生をかけて、マメさんに恩返ししたいと思っています。
子どもを産むことはできませんでしたが、マメさんのことは私が責任を持って幸せにしますので、どうかそれだけはご心配なさらないでください。
マメ家に迎えていただいたこと、そして暖かい家族の在り方を教えていただいたこと、心から感謝しています。
至らない嫁ですが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。
カナ
『選択的子なし』であることを伝える際に、どこまでの事実を伝えるのか。
これは、本当に悩みました。
そもそも、結婚してから二年以上の間、カナ自身の幼少期や親子関係について深く言及してこなかったのは、その必要はないと判断していたからです。
私はマメ家に嫁ぎましたが、そこにカナ家の事情は関係ない、と。
義両親は、「カナと母は昔からあまり仲が良くない」という程度の認識だったと思います。
実際、それでも大きな問題はありませんでしたが、少し困ることは時々ありました。
義両親は、時間をかければカナと母親が和解できると心から思っていたんです。
そのため、
『いつかはカナさんのお母さんも一緒に集まりたいね』
『最近はご両親と連絡を取ってるの?』
など、私の実家の話題が上がることもしばしばありました。
その度に、明言を避けながらごまかしてきました。
何年もかけてマメさん一家と関係を深めていくにつれ、私にとって義両親は、そのようなごまかしは必要がない相手だと感じました。
それが、今回『虐待』という、明確で厳しい言葉を使って全てを正直に話した理由です。
わかりやすいので『虐待』という言葉を使いましたが、
私は自分の過去に対して、誰からの同情も共感も求めていません。
少し大変だった過去があることは事実ですが、そんなことは形が違うだけで誰でも同じです。
ただ、私にとっては実家が苦痛を感じる場所だということ、母との団欒を私自身は求めていないことなど、健全な家庭の人には想像し難いことを端的に表現しました。
全てを話したことで、マメさんの両親から壁を作られるのであれば、それも仕方がないと思っていました。
しかしその後の反応で、私は本当に幸せ者だと実感することになります。
(つづく)
カナが子どもを産まないもうひとつの理由🌸